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出資持分のない医療法人への移行16

厚労省資料より、
出資持分払戻額算定に用いる計算例をご紹介します。

 この払戻し金額は、社員間の話し合いで決めるべきものですが、その金額により、
残存出資社員への贈与税の課税が起きることもあり、または医療法人に贈与税の課税
が生じる場合もあります。

 参考として計算例を以下に表示します。

イ、時価評価に基づく純資産額から、その持分の割合にて算定する原則的方法。
  (出資持分の払戻しを巡る平成22 年4 月8 日最高裁判決)
ロ、相続税財産評価基本通達に基づいた類似業種比準価額を援用して算出する方法。
ハ、相続税財産評価基本通達に基づいた純資産評価額をもとに算出する方法。
ニ、時価純資産方法で算出し、一定の減額率を乗じて求める方法。

 上記算定方法により、払戻しを行った場合、その社員に対しては配当所得としての
所得税の課税あるいは贈与税の課税、退社せずに残った出資社員に対しての贈与税の
課税、または当該医療法人への贈与税の課税が生じる場合、あるいはまったく課税問
題が生じない場合があるので、実態に即し、課税庁との事前打ち合わせが望まれます。

 一般に、出資評価額が当初の出資額より多い場合には配当所得が課税されます(注1)。
また、ニについては、退社せずに残った出資社員に対して贈与税の課税が生じる場合が
あります。ニで、退社せずに残った出資社員がいない場合、その医療法人に贈与税の課
税が生じる場合があります。課税については、事前の検討が必要です。
 ( 注1) 一部譲渡所得に該当するものがあります。

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出資持分のない医療法人への移行15

<医療法人の存続を第一に事前の準備を>

 出資者であれば、出資持分を払戻し請求することができることとなりますが、
多くの方はその医療法人の存続を第一に考え、出資持分の払戻しにより、
医療法人の経営を圧迫したくないと思っています。
 
しかし、これまでの例をみると、医療法人経営に直接関与していない出資者あるいは
医療法人経営等をめぐる意見の対立により退社した出資者から、出資持分の払戻請
求権を行使されることがあるようです。兄弟間での意見対立や共同経営者間の意見対
立などが見られます。とりわけ、兄弟間での意見対立は、親という仲介者がいる場合
には決定的な対立にはならなくても、親が他界した後では、深刻な対立になる場合が
多いようです。

 つまり、現出資者が相続対策として、兄弟平等に出資持分を相続する旨を遺言しても、
もしくは遺言がなく出資持分をそれぞれが平等に相続したとしても、将来の禍根を残
してしまう可能性があります。兄弟間の対立を回避する対策としては、意見対立が生
じた場合、判断の基準を経営理念あるいは経営哲学として定めておくのも良い考えです。
いつでも出資持分の払戻請求を受ける可能性があるとすれば、その際の払戻すべき金
額を試算しておく必要があります。

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出資持分のない医療法人への移行14

出資持分の払戻についてのポイントです。

① 自法人の出資持分の払戻し請求権が定款にどのように記載されているか確認
② 経営陣・親族間での意見対立が起こった場合に備えて、判断基準(経営理念等)を明確にしておく
③ 出資持分の払戻請求を受ける可能性があるとすれば、法人経営における影響度を試算しておく

 出資持分払戻請求権とは、通常、
①社員資格を喪失したものが、
②その出資額に応じて、
③法人の資産からの払戻しを請求することができるというものです。

なお、出資額に「応じて」払戻すことは医療法人の任意になります。

第9条 社員資格を喪失した者は、その出資額に応じて払戻しを請求することができる。(厚生労働省モデル定款)

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出資持分のない医療法人への移行14

出資金の払い戻し

医療法人の定款に、出資持分の払戻請求権について、
どのように記載されているかを確認しなければなりません。

一般には、定款第8 条もしくは第9 条に「社員資格を喪失した者は、その出資額に応じて払戻しを請求することができる。」と記載されていることが多いと思われます。

 そうした記載のない医療法人及び「社員資格を喪失した者は、その出資額を限度として払戻しを請求することができる。」と記載されている医療法人は除きます。ちなみに、前者を出資持分のない医療法人と呼び、後者を出資額限度法人と呼んでいます。

<出資額に「応じて」とは?>
 社員資格の喪失とは、これも医療法人の定款に定められていると思いますので確認してください。
一般には、除名、死亡、退社によるとされており、除名の場合には相当の理由に基づき社員総会で過半数の議決が必要になりますが、退社の場合は、その社員の意思に基づいて「やむを得ない理由のあるときは、社員はその旨を理事長に届け出て、その同意を得て退社することができる。」とされています。

モデル定款では、理事長が同意しない場合を想定していませんが、
一般論として、その社員の意思が尊重されるべきといえます。

つぎに、「その出資額に応じて」と記載されているものは、
「出資額全体のうちのその退社する社員の持ち分割合に応じて」と理解されます。
ですから、例えば資本金400 万円のうち200 万円を出資している、
あるいはその出資分を引き継いだ場合には50%の出資持分があると考えます。

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出資持分のない医療法人への移行12

前回までは病院での事例でした。
診療所ではどのような問題があるのでしょうか。

 診療所で金額が少ないといっても、それは病院と比べての数字で、1 億円という数字はその規模からいうと大きな数字です。姉たちはその1 億円を手にしましたが、承継者は、医療法人を引き継ぐだけとなりました。それを平等と思うか、それとも不平等と感じるかは、相続人たちで話し合うべき問題なのでしょう。

 「医療法人の出資持分は、創設者や理事長にとっては、自分の努力で築いてきた財産ともいえるでしょう。しかし、その財産価値は、法人を解散したり、売却したりするまで実現しません。また、現金化するために解散するなどということも、そこに患者、スタッフがいるのであれば、とても容易に実行できるものではありません。
 医療法人の経営の安定化にとって大切なのは、自己資本の充実です。自己資本の充実によって、医療の充実のためにさまざまな投資が可能になり、将来の安定化につながります。

 一方で、出資持分の払戻請求は、この自己資本充実の原則から外れますし、結果として経営を危うくさせます。以上のような問題が起きないようにするために、出資持分のない医療法人への移行を検討する前提として、まずは、出資持分のある医療法人において、出資持分が法人経営にどのような影響を及ぼすのか検討します。


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出資持分のない医療法人への移行11

こちらも厚生労働省医政局公表資料より

病院を経営する医療法人事例2

 医療法人で、それまでの理事長が他界され、相続が開始されました。その際の医療法人の出資持分評価額は、約37 億5,000 万円となり、その出資持分を相続した奥様は、相続税支払いのため、医療法人の出資持分の払戻しを請求しました。しかし、医療法人側では、出資持分の払戻しを請求されたら、多額の払戻しになり、医療法人経営が立ち行かなくなるとの判断から、理事長が他界される前に、出資額を限度として払戻すとの定款変更を行っていました。そのため、医療法人側が主張する出資払戻額は、約1,000 万円でした。払戻すべき金額の話し合いが成立しないため、裁判が行われ、結果としては、その定款変更は有効との判断から、払戻すべき金額は約1,000 万円となりました。

 本来はこれで決着なのですが、税務上、残存社員がいる場合の贈与税の課税あるいは残存社員がいないのであれば、医療法人を個人とみなした贈与税の課税問題はどうなるのかといった疑問は残されたままになっています。

 この事例では、払戻すべき金額は出資額を限度とする定款変更が行われており、その有効性が争われた案件でしたが、もし、この定款変更がなされていなければ、1000万円ではなく、約37 億5,000 万円の払戻しをしなければなりませんでした。一件落着なのですが、同時に、もう一つの問題が生じています。つまり、差額37 億4000 万円の払戻しをしないで良くなった金額についての課税上の問題です。通常、残った出資社員あるいは医療法人に対して贈与税の課税問題が生じていることです。医療法人に贈与税が課税されるとなると、18 億円以上の贈与税の支払いとなります。それはそれで問題です。

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出資持分のない医療法人への移行10

厚生労働省医政局公表の資料より以下の事例が報告されています。

病院を経営する医療法人事例1
 昭和34 年に設立された医療法人社団に、設立から11 年を経過した昭和45 年、50 万円を出資し、入会したA 社員がいました。その後、このA 社員は昭和63 年にその医療法人を退社し、自らが出資した50 万円に相当する出資持分の払戻しとして約5 億円の請求がなされましたが、裁判所は設立後に出資を行って入会した場合には当該出資時における医療法人の資産総額に当該社員の払込済出資額を加えた額に対する当該出資額の割合によるとして、最終的には約600 万円の払戻を命じました。それでも、50 万円が18年後に12 倍の約600 万円になる訳ですから、医療法人に残って頑張る社員にとっては納得がいきません。これが、途中出資でなく、当初より50 万円を出資していたなら、それこそ約5 億円相当を払戻すこととなり、医療法人経営は維持できなくなります。
 いずれにしても、この裁判では社員に払戻すべき金額は、退社した時点での医療法人の純資産に対し、出資額に応じた額としたことです。当初の出資した金額を限度とはしていません。
 この裁判では、出資持分の払戻しは、50 万円の出資で約5 億円の払戻しが起きる可能性があることを示唆しています。払戻しは、現金でおこなわれますが、医療法人にとって、多額の現金預金を手元に保管しているところは多くはありません。大半の場合、医療機器や建物等設備の資金に注ぎ込まれています。払戻しに応じる場合、銀行等から借入をするか、資産を売却する等の対策が必要です。出資持分の払戻しは、医療法人経営を圧迫します。

ご参考ください。

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出資持分のない医療法人への移行

出資と出資者についてです。

●出資持分の払戻しに伴う課税関係
 出資持分の払戻額から当該出資持分に係る払込済出資額を差し引いた金額は配当所得とされ、払戻しを行う医療法人は、かかる配当所得の20%相当額を源泉所得税として納付しなければなりません。
 また、出資持分の払戻しを受けた者は、上記の配当所得につき、他の所得と一緒に確定申告を行う必要があります。
 なお、出資持分のある医療法人の設立後に追加出資や出資持分の払戻しが行われて出資総額の増減が生じた場合は、その後における出資持分の払戻しの際に一部譲渡所得の生じることがあります。

●出資持分と相続税
 出資持分については、社員の退社に伴う払戻しや医療法人の解散に伴う残余財産の分配が生じ得ることから、財産価値を有するものとして、相続税の課税財産に含めることとされています。
 医療法人の財産状況等によっては、出資持分の相続財産としての評価額が巨額に上る可能性もあり、そのような場合には、医療法人の円滑な事業承継が阻害されることにもなりかねません。

●出資持分のない医療法人への移行に伴う贈与税
 出資持分のある医療法人が定款変更を行って出資持分のない医療法人に移行する際に、出資持分を有する社員がその出資持分を放棄した場合、一定の要件を満たさないときは、相続税法第66 条第4 項の規定により、当該医療法人に贈与税が課税されることになります。 
 このような贈与税の課税問題は、出資持分のない医療法人への移行を検討する際、大きな障害要因となる可能性があります。

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出資持分のない医療法人への移行⑧

社団医療法人を構成する要素についてです。

●出資者とは
 社団医療法人の設立時もしくは設立後に出資を行った者です。社員と出資者は必ずしも一致しません。出資をしなくても社員となれます。出資持分の相続を受けたものが社員でないとすると問題が生じますので、注意が必要です。一般的には、相続を受けていながら、社員となれない場合、遡って被相続人の出資持分の払戻請求が起きる可能性がありますので、事前の話し合いが必要です。

●出資持分とは
 社団医療法人に出資した者が、当該医療法人の資産に対し、出資額に応じて有する財産権をいいます(ただし、前記のとおり、社団医療法人であっても、出資持分が存在しないものや、出資持分の及ぶ範囲が制限されているものもあります。)。
 出資持分は、経済的価値を有する財産権であり、定款に反するなどの事情がない限り譲渡性が認められ、贈与税や相続税の課税対象ともなり得ますが、定款の規定に基づく払戻請求権や残余財産分配請求権として行使されるのが最も典型的な権利の発現形態であるといえます。
 なお、出資持分は、株式等とは異なり、社員の地位と結合した概念ではないことに注意が必要です。

●出資持分の放棄とは
 以上のような財産権を放棄することを意味します。

●出資持分の払戻請求権
 社団医療法人において、出資持分を有する者が、当該医療法人の定款の定めに基づき、当該医療法人に対して、自己の出資持分に相当する財産の払戻しを求めることができる権利であり、「出資持分の返還請求権」などと呼ばれることもあります。
 出資持分の払戻請求権に関する定款の定めとしては、「社員資格を喪失した者は、その出資額に応じて払戻しを請求することができる」という旧厚生省の〔改正前〕社団医療法人モデル定款第9条と同趣旨の規定が置かれているのが通常ですので、出資持分の払戻請求権は、出資を行った社員が退社した場合に発生するのが一般的であるといえます。また、上記モデル定款と同趣旨の定款規定が存する場合、出資持分の払戻請求権の金額は、退社時点における当該医療法人の財産評価額に、同時点における当該退社社員の出資割合を乗じて算定されることになります(ただし、当該退社社員が中途入社しているケースにおいては、別の考え方もあり得ます。)。
 なお、定款の定めにより、出資持分の払戻請求権の上限が払込出資額そのものに限定されていることもあります(前出の出資額限度法人)。

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出資持分のない医療法人への移行⑥

医療法人の合併についてです。

 法定の手続に従い、当事者たる医療法人の一部又は全部が解散し、清算手続を経ることなく、その財産を包括的に存続医療法人(吸収合併の場合)又は新設医療法人(新設合併の場合)に移転するとともに、その社員が存続医療法人又は新設医療法人の社員となる組織再編行為です(医療法第57条以下)。
 合併は、医療法に定められている医療法人の唯一の組織再編行為であり、①当事医療法人のうちの一つが存続し、他の当事医療法人が解散する「吸収合併」と、②当事医療法人の全部が解散し、それと同時に新たな医療法人が設立される「新設合併」の2種があります。
 合併は、社団医療法人相互間、及び、財団医療法人相互間においてのみ可能であり、社団医療法人と財団医療法人との間での合併はできません(医療法第57条第1項及び第2項)。
 
社団医療法人の構成及び管理運営面に関してです。社団医療法人とは、その実体が社団(一定の目的のもとに結合した人の団体)である医療法人をいいます。社団医療法人には、構成員である社員のほか、医療法の定めにより、社員総会、理事・監事、理事長などが置かれることになっています。また、後記のとおり、理事会も設置されているのが一般的です。
 
「社団」といえば株式会社であると思われますが、社団医療法人の基本的なガバナンスの仕組みは株式会社に類似しており、社員→株主、社員総会、株主総会、理事→取締役、理事会→取締役会、監事→監査役、理事長→代表取締役と置き換えてみると、イメージが掴みやすいでしょう。ただし、株式会社においては、社員権(株主権)を細分化した割合的単位である株式が存在し、これと社員(株主)の地位が不可分に結合しているのに対し、社団医療法人には株式に相当する概念が存在しないなど、両者には大きな相異も存在します。

出所:厚生労働省 社会保障審議会資料より

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出資持分のない医療法人への移行

前回の続きです。

●基金制度を採用した医療法人
 出資持分のない医療法人の一類型であり、法人の活動の原資となる資金の調達手段として、定款の定めるところにより、基金の制度を採用しているものをいいます。基金拠出型法人などと呼ばれることもあります。
 平成19年施行の第五次医療法改正で新たに導入された類型であり、基金の拠出者は医療法人に対して劣後債権に類似した権利を有するに過ぎません。
 第五次医療法改正後に医療法人を新設するケースにおいては、基金制度を採用した医療法人の形態をとることが一般的になっていると思われます。なお、後述の社会医療法人や特定医療法人は基金制度を用いることはできませんので、基金制度を採用した医療法人が、社会医療法人の認定又は特定医療法人の承認を受けようとする場合には、基金を拠出者に返還し、定款から基金に関する定めを削除することが必要になります。

●特定医療法人
 租税特別措置法第67条の2第1項に規定する特定の医療法人をいいます。
昭和39年に創設された類型で、社団医療法人でも財団医療法人でも承認対象となり得ますが、社団医療法人については、出資持分のない医療法人であることが必要です。
 後出の社会医療法人同様、承認の要件は厳格ですが、国税庁長官の承認を得られれば、法人税の軽減税率が適用されるなど、税制上の優遇措置を受けることができます。
※基金とは:社団医療法人に拠出された金銭その他の財産であって、当該医療法人が拠出者に対して医療法施行規則第30条の37及び第30条の38並びに当該医療法人と当該拠出者との間の合意の定めるところに従い返還義務(金銭以外の財産については、拠出時の当該財産の価額に相当する金銭の返還義務)を負うものをいいます。
 出資持分のある医療法人から基金制度を採用した医療法人へ移行する場合、もともとの出資額にその時の時価評価額を使うと配当所得が発生する場合があるので注意が必要です。

●社会医療法人
 医療法人のうち、医療法第42条の2第1項各号に掲げる要件に該当するものとして、政令で定めるところにより都道府県知事の認定を受けたものをいいます。
 平成19年施行の第五次医療法改正において新設された類型で、社団医療法人でも財団医療法人でも認定対象となり得ますが、社団医療法人については、出資持分のない医療法人であることが必要です。
 社会医療法人の認定要件は厳格ですが、その認定を受けると、本来業務である病院、診療所及び介護老人保健施設から生じる所得について法人税が非課税になるとともに、直接救急医療等確保事業に供する資産について固定資産税及び都市計画税が非課税になるなど、税制上の優遇措置を受けることができます。
また、医療法第42条の2第1項柱書に定める収益業務を行うことも認められます。

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出資持分のない医療法人への移行④

●出資持分のある医療法人
 社団医療法人であって、その定款に出資持分に関する定め(通常は、①社員の退社に伴う出資持分の払戻し、及び、②医療法人の解散に伴う残余財産の分配に関する定め)を設けているものをいいます。
 平成19年施行の第五次医療法改正により、出資持分のある医療法人の新規設立はできなくなりましたが、既存の出資持分のある医療法人については、当分の間存続する旨の経過措置がとられており、これらは「経過措置型医療法人」と呼ばれることもあります。
 このような経過措置型医療法人は、平成22年3月31日現在、社団医療法人の93.3%を占めています。

●出資額限度法人
 出資持分のある医療法人であって、社員の退社に伴う出資持分の払戻しや医療法人の解散に伴う残余財産分配の範囲につき、払込出資額を限度とする旨を定款で定めているものをいいます。
 出資額限度法人は、出資持分のある医療法人の一類型ですが、医療法人の財産評価額や社員の出資割合にかかわらず、出資持分の払戻請求権及び残余財産分配請求権の及ぶ範囲が、当該社員が実際に出資した額そのものに限定される点に特徴があります。

●出資持分のない医療法人
 社団医療法人であって、その定款に出資持分に関する定めを設けていないものをいいます。
 平成19年施行の第五次医療法改正により、社団医療法人を新規設立する場合は、出資持分のない医療法人しか認められないことになりました。

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出資持ち分のない医療法人への移行③

前回の続きです。

 医療法人とは、病院、医師もしくは歯科医師が常時勤務する診療所又は介護老人保健施設を開設することを目的として、医療法の規定に基づき設立される法人です。

① 法人としての形態に着目した類型
 医療法人の最も基本的な区分として、「社団たる医療法人」と「財団たる医療法人」があります。
 このうち、社団たる医療法人が医療法人全体の大多数を占めているのが現状です(平成22年3月末現在では、全医療法人のうち99.1%以上が社団たる医療法人)。
 なお、医療法人の名称には、よく「医療法人社団」という言葉が用いられていますが、これは、社団たる医療法人であることを示すものです。

② 社団たる医療法人の類型
 社団たる医療法人(以降、社団医療法人)は、出資持分の有無という観点から、「出資持分のある医療法人」と「出資持分のない医療法人」に区分することができます。
また、出資持分のある医療法人の中には、「出資額限度法人」という類型があり、出資持分のない医療法人の中には、「基金制度を採用した医療法人」という類型があります。

③ 医療法や税法に基づく特別な類型
 医療法を根拠とする「社会医療法人」、租税特別措置法を根拠とする「特定医療法人」という特別な類型があります。
 これらは、医療法や租税特別措置法が要求する厳格な要件をクリアした医療法人のみが成ることのできる類型で、いずれも出資持分はありません。
※上記に示したもの以外に、「特別医療法人」という類型もありますが、平成24年3月31日をもって廃止されることになっているため、ここでは割愛します。

次回に続きます。

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出資持分のない医療法人への移行②

前回の続きです。

◆医療法人の出資持分には、主に次の3点の課題があると考えられます

制度的な背景などから、医療法人に出資持分が存することについて、主に次の3点の課題が指摘されています。

1.解散時に残余財産の分配がなされるため、医療法人の非営利性が保たれない。
厚生労働省の旧社団医療法人モデル定款と同旨の定款を定めている医療法人の場合、解散時の残余財産は、各出資者にその出資額に応じて分配されます。それが、実質的な剰余金の分配に当たり、医療法人の非営利性に反するという指摘があります。

2.出資持分に相続税課税がなされ、その支払いに窮する。
多くの場合、創業者である理事長が医療法人の出資持分の大半を所有しており、その相続の際に、後継者は多額の相続税を支払うこととなります。そのため、承継を危うくさせてしまう可能性があります。
なお、この相続税課税の根拠は、出資持分につき退社時の払戻請求権や解散時の残余財産分配請求権が存することにあります。※厚生労働省「種類別医療法人数推移」平成22 年3月末時点。医療法人総数45,989 法人のうち、持分あり医療法人の42,902 法人が占める割合。

3.出資持分を持つ社員が退社し、出資持分の払戻請求権を行使した場合、その払戻しが医療法人の経営を圧迫する。
多額の相続税を支払うため、あるいは意見対立から、出資持分を持つ社員は退社に伴い、その出資持分についての払戻しを請求する事が出来ます。出資額に応じた払戻しとなりますから、内部留保が多くなればなるほど、払戻す金額が多くなります。この出資持分の払戻しが、医療法人経営を圧迫しかねません。
出資持分払戻請求に関する代表的な判例としては、社団医療法人の出資社員が死亡したことにより発生した出資金返還請求権を相続等により取得したなどとして、当該出資社員の子が出資金の返還等を求めたものなどがあります(最高裁平成22 年4月8日判決)。
なお、本マニュアルは、あくまで平成23 年3 月1 日時点の法律等の状況において、これまで述べた出資持分のある医療法人に生じうる課題をクリアする方法のひとつとして、出資持分のない医療法人への移行を取り上げるものであって、出資持分のある医療法人が今後どうあるべきかという価値判断等に踏み込むものではありません。

次回に続きます。

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出資持分のない医療法人への移行①

厚生労働省より下記の資料が公表されています。
『出資持分のない医療法人への円滑な移行マニュアル』平成23 年3月発行

医療法人の出資持分をめぐる課題
◆背景
 医療法人は剰余金の配当ができないことなどから、長年の経営により医療法人に積み上げられた剰余金が多額となる傾向があります。そのため、出資持分のある医療法人の出資社員が死亡し、相続人に対して当該出資持分に係る相続税が課税される場合は、医療法人の財産状態などによっては、その納税額が巨額に上ることもあり得ます。

 また、出資持分の払戻請求があった場合、払戻額が高額になり、医療法人の存続が脅かされる事態が生じることが指摘されています。

 さらに、退社時の出資持分払戻と解散時の残余財産分配は実質的な剰余金の配当にあたり医療法人の非営利性が形骸化しているなどとして、株式会社参入論の論拠ともなっていました。
このような背景も踏まえ、平成19 年に施行された第五次医療法改正において、医療法人の非営利性を徹底し、医業を安定的に継続させる観点から、出資持分のある医療法人の新設ができなくなりました(改正医療法附則第10 条による経過措置を受ける持分あり医療法人は依然として93.3%※を占めています。)。

 以上の点を踏まえると、非営利性の徹底と医業の安定的な継続を両立させるための手段のひとつとして、持分なし医療法人への移行を検討することは有効であると考えられます。

 本マニュアルは、出資持分のない医療法人への移行を検討される法人向けに、移行に際してのプロセスや障害要因を把握し、それを乗り越える方法を紹介することを目的として作成しています。

次回に続きます。

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